親の問題

親も共同体の一員をやっている。親も自分が共同体にふさわしいということを証明しなければならない。そうすると子供の味方をすることができなくなることがある。それがしばしばおこる問題である。

親は家族という関係性の中だけで存在することはできない。生きていくためにはその外側の共同体の中でうまくやっていくことが必要になる。そのために外の共同体の一員としてふさわしいふるまいをしなければならない。しかしそれをすることが子供の側に立つことができないというメッセージを子供に与えることになる。子供は親に否定されたことになり、ダメージを受ける。自分の身近にいる親への信頼感を失うことになり、外の共同体の中で生きていくために必要な人を信頼することをできなくさせる。

外の共同体の中で生きていくために必要だと思ってした親の言動が子供が将来外の共同体の中で生きていくのに必要な信頼感を損なうという難しい問題が起こる。

外の共同体の価値観と子供が親に望む価値観が一致していればよいが、そうでないときにこの問題は起こる。

対処方法としては子供が親に望んでほしい行動を親がしたとしても、外の共同体を裏切ることにならない別の共同体に移動するぐらいしかない。この解決方法が取れるのはそういうオルタナティブな共同体が他にある場合だけである。

両立が不可能な場合は親はどちらかを選ぶしかない。外の共同体側に立つのか、子供の側に立つのか。子供の側に立つとしたら、子供の側に立ったうえで今いる共同体の価値観への変革を少しずつ試みていく活動をすることになる。これは困難な道である。共同体側から反発を受けて深刻な場合は親子ともども共同体から追放されるだろう。しかし子供の信頼感を失うことを避けるならばその困難な道しかないだろう。