人を殺してはなぜいけないのかという問いが発せられることがある。なぜ殺してはいけないのかという明確な理由をうまく作ることが難しいからだろう。
人以外の動物に関して考えてみたのだが、他の動物の場合相手の動物を殺そうと試みたら、自分の身体に具わっているものを使う以外にない。どういうことかというと闘争の場合肉弾戦にならざるを得ない。相手の動物を殺そうとしてうまく殺せたとしても、その過程で自分の身体もかなり損傷を負うだろうことは想像できる。
しかし人は違う。人は道具を発明した。道具を使えば道具(武器)の種類によっては簡単に相手を殺すことができる。
たとえ自分より強く体の大きい相手に対しても武器を使えば殺すことは可能だ。肉弾戦をする必要がないので自分の身体に損傷を負うことを心配することもない。
つまり人は人を簡単に殺せるのだ。
だから心理的にかなり強力な人を殺すことを抑制する思想が必要になっているのだと思う。それは一人一人の心や身体にかなり強力に埋め込まれている。
人を殺すことを抑える思想を人が持っていなかったら、人は簡単にお互いに殺しあうことをし続け、そうして人はこの地球上からいなくなっていたことだろう。