誰かと一緒にいたいと思う感情

人に備わっている誰かと一緒にいたいと思う感情、一人でいると寂しい、誰かにそばにいてほしいという感情、他者を求める感情は何のためにあるのか。それは誰かと一緒にいる状態のほうが生存に有利になるという目的のために設定されている。だから一人でいると寂しいという感情がなくなるのなら相手が誰でもいい、一緒にいる相手は誰でもいいわけでは実はない。あくまでその人と一緒にいることで自分の生存が有利になる相手でなければならない。この場合その人と一緒にいることでなぜ生存が有利な状況につながるのか。それは協力できる相手であるという理由からだ。その人が財産や地位を持っているから生存に有利になるというわけではない(全然ないわけではないが)。財産や地位などは失われることもある。しかしその人となら自然に協力して物事に対処する気になる相手というのは人にとって大事な相手である。それは相性の問題でもある。なんとなくうまがあって話が合って考え方がぴったりではないけれども、大幅に違うわけではなく、その人が相手なら自然と協力をして物事に対処する気になる相手。そういう相手であることが一番大事なことだ。しかしそういう相手を見つけることは難しい。多分相当難しいのではないのかと思う。人は付き合う相手を誰でも選べるといっても身近なそばにいる相手でないとつきあうという状態になることは難しい。遠くの地球の裏側に気の合う相手が実はいるのかもしれないが、そのような遠い距離にいる人々の中から協力したくなる相手をどうやって見つけたらいいのか。ある程度その人とつきあいを続ける中でこの人は自分と気が合う、自然に協力したくなる人だということがだんだんわかってくる。これは難しい試みだ。人は自然に協力することがしたくなる相手だと見極めるには時間やコストがすごくかかることをわかっているので、違う条件、財産を持っていることや地位があることなど、あるいは美醜など見てわかる条件でつきあう相手を選択してしまうのではないだろうか。