普通の人

普通の人になりたいと思っていた頃があった。しかし今はあまり思っていない。どうしてかというと普通の人というのは普通であらねばならないという呪いをかけられた人であることに気づいたからである。

普通の人であるためには「普通」の枠を超える行動をしないように毎日周囲の人の様子を伺って慎重に行動しなければならない。考えてみるととてもしんどい。そして普通ではない人を見ると普通の人は非難する。それはそうだろう。自分が一生懸命「普通」の枠を超えないように慎重に行動しているのに、そういう枠を気にせず自由に生きているように見えるから腹が立つのだ。普通の人とは「普通」の枠に行動を制限されているとても不自由な人なのだ。

そういうふうに考えるようになったら普通であることにあまり価値がないなあと思うようになった。そして普通の人を見るとしんどそうだなと思うようになった。