仲間と共に戦う物語

仲間と共に協力しながら何らかの戦いをする物語はよくテーマとして書かれている。皆仲間と共に協力しながら困難な戦いをして成長していく主人公がいるような物語が好きだ。絶対勝てないと思われる強力な相手に仲間と共に知恵を絞りながら戦い勝利していく、そういう物語に感動する。これは人が実現したい理想の世界観なのだと思う。

実際のところ、現実では仲間と共に戦って協力して勝つということは難しかった。それどころかおそらく敵の強さに恐れをなして仲間と共に戦うことは選ばずに、場合によっては仲間を見捨てたり裏切ったりして生き延びていった、そうするよりほかに仕方がなかった局面のほうが多かったのではないのかと思う。そうして仲間を裏切ったり見捨てたという罪悪感を一生抱えながら不本意な状態で生きていった。それが現実の人間の世界だった。だから仲間と共に勇気をもって戦う物語というのは人の実現できなかったはかない理想の世界を描いたものなのだろう。そう解釈している。実現することができなかったはかない理想の世界を描いたものだからこそ、涙を流すほど感動して物語を享受することができるのだろう。