誰かを安易にキモイと言わない人

誰かを安易にキモイと名指ししない人とはどういう人であろうか。差別心のない人格の正しい正義の人だろうか?私はそうは思わない。誰かをキモイと安易に言わない人とは言うと困ることが起こることを想定する人だろう。一般的に人は悪口を言った相手とは協力することができなくなる。自分が将来誰と協力をする必要性が生じるのかはわからない。だから不快な印象を持った相手がいたとしても、その心は隠しておいてとりあえず敵対関係にはならないように気を付けておく。そのようなことを想定している人は安易に人のことをキモイと言ったりはしない。

では不快な印象を持った人に安易にキモイと言ってしまう人とはどういう人だろうか。それは今現時点親しくしている人たちのグループに自分がずっと所属し続けるだろうから現時点で親しくしていないグループの人たちを不快にさせても問題ないだろうと考えている人である。身内集団内の人たちは大事だがそれ以外の人たちはどうでもいいのである。

反対に安易に人のことをキモイと言わない人は自分が現時点で親しくしている人たちのグループにいつまで所属しているのかは将来は不確定だと思っている。将来親しくしている人たちは今親しくしている人たちとは違っているかもしれない。人間関係の永続性をあまり信じていない。だからとりあえず今関係が薄そうな相手であっても不快な気持ちにさせないように気を付けているのである。

また安易に誰かをキモイと言わない人は計算高い人である。キモイと内心思う相手であっても、その人の持つ価値のために協力すると得るものがある場合、協力をする用意がある。上位の目的のためならば自分の個人的な(些細な)快不快の感情は保留にしておくことができる。この考えは目的至上主義的な価値観につながりやすい。場合によっては目的のためならば手段を選ばないという非情な考えを持つことにつながることもある。その場合誰かをキモイと安易に言わない人は冷酷な人だったりするかもしれない。

また目的のためならば付き合う相手の問題点に目をつぶる可能性がある。目的の達成のためならば悪魔(のような)人とも手を組むかもしれない。

だから誰かを安易にキモイと言わない人が善人であるとは限らない。